2011-07-07 Thu
大腸菌アウトブレイクに関して、フェヌグリークの種汚染を指摘されたエジプトが、関連を否定しています。欧州の大腸菌感染源、名指しされたエジプトが否定
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2811349/7462841?utm_source=afpbb&utm_medium=topics&utm_campaign=txt_topics
記事中で、「エジプト農務省は、感染源とされたのは2009年11月に輸出された乾燥種子であり、バクテリアがそれほど長く生きていられるはずはないと反論」しているといいます
では乾燥状態で大腸菌はどのくらい生存できるものでしょうか……?
通常、大腸菌などのグラム陰性桿菌は乾燥に弱いと言われています。
「大腸菌(O-157)や赤痢菌などのグラム陰性桿菌は乾燥に弱い細菌で、乾燥すると急速に死滅します。ガラス平板上の大腸菌は、乾燥1時間後で1/50以下の菌量に減少することが報告されています。反対に、便などの有機物中のO-157は長期生存し、乾燥状態の糞便中で2か月間も生存できるとされています」
引用元:静岡県病院協会(http://www.shizuoka-bk.jp/kansen_qa/yobou.html)
この場合、大腸菌がもしフェヌグリークの種子に付着していたと仮定すると、状況的には「有機物中」で、「乾燥」状態だったと考えられます。乾燥状態の糞便中で2ヶ月生きられる大腸菌。
別の資料では、さらにさまざまな条件下で大腸菌がどれだけ生存できるのか、比較している研究がありました。
新しい簡便な微生物の保存方法について
http://www.watson.co.jp/pdf/newbiseibutu.pdf
この資料の4ページ目、大腸菌は乾燥、低温(マイナス20度)において12ヶ月生存していることがわかります。そして8ページ目以降を見ると、乾燥剤、脱酸素剤の有無、室温の高低などの条件によりますが、大腸菌は実験開始後5ヶ月経ってもかなりの菌数が生存するということが示されていると思います。
フェヌグリークはどのように保存されていたのでしょうか。発芽用の種子なので乾燥状態といっても種子自体が一定(おそらく数%)の水分を保有していると推測されますので、完全な乾燥状態とは言えないのではないでしょうか。そして発芽のために水を含む培地に植えられたとたん、菌が増殖を始める、というのはありえないシナリオでもないのかな、という感じがします。
ま、当局が保存状態や水汚染などの有無を調べると思いますので、発表を待ちましょう。
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