■プロフィール

Michiyo

Author:Michiyo
I am a J-E/E-J translator living in the Netherlands. In this blog I'd like to share small info and stories on earthquake/tsunami disaster areas that do not appear in major press.
おらんだ在住翻訳者です。「情報の共有」を自分的きーわーどに、時々ボランティア翻訳などにも首つっこむヒト。このブログでは311後のちいさなニュースや情報を日英併記で伝えていきます。
まだ終わっていない。

■最新記事
■最新コメント
■最新トラックバック

■月別アーカイブ
■カテゴリ
■検索フォーム

■RSSリンクの表示
■リンク
■ブロとも申請フォーム
■QRコード

QR

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
微生物学者さんのツイートから
Twitterにて、癌関連遺伝子研究者兼微生物学者のy_tambeさんの大腸菌に関するツイートがありましたので許可を得て引用させていただきます。y_tambe先生ありがとうございます。

--------------------------
過去の事例から言うと、普通に栽培された野菜よりむしろ、アルファルファやかいわれ大根などのように「水耕栽培の方が」EHECのアウトブレイク事例は多いんだけどな。
6月8日

ただし発症菌数が少ないEHECのようなケースでは、疫学的な追跡が難しくなる場合も多く、原因食材の特定が「多分これなんだけどな…」と、もやもやした感じに終わってしまうことも結構ある……発症が遅かったり発病頻度が低いカンピロバクターやリステリアなども同様の傾向がある。
6月8日

あんまり注目されてないみたいだけど、今回のO104:H4でも、注意すべきポイントの一つは「発症菌数がどれくらいか」。ただし、それを明らかにするためには「原因食材にどの程度の菌が存在し、それをどの程度摂取したか」が推定できなければいけないので…。
6月8日

一般に「EHECは発症に必要な菌数が少ない」と言われてる…実はO157ではこの現象ははっきりしてるのだけど、それ以外の血清型でどうなのかというと、どうもはっきりしてない。O111については、発症菌数は少なそうだけど、酸耐性はO157が非O157よりかなり高いという報告もある。
6月8日

O111やO26などの非O157と、O157とはそもそも別の経路で遺伝子獲得してきたという説があるので「O157だけが特殊」というのは、それほどおかしな話ではない。今回のO104も、Stx獲得したEAECが元になってるような匂いがぷんぷんしてるし、別の性質があっても不思議じゃない
6月8日

えっ! 種の密度が違いすぎるということなんでしょうか。

いえ、むしろ栽培法そのものの問題かと。水耕栽培は雑菌が混入するリスクはおそらく通常の圃場での栽培より低いのだけど、ひとたび混入してしまうと、雑菌の繁殖にも適した環境になってしまうのでしょう。
6月8日

で、問題は水耕栽培場にヒト食中毒菌が混入してしまう経路についてですが、(1)種子の段階ですでに汚染されてるケース、(2)ハエなどの衛生昆虫が媒介して持ち込む可能性、というのがあるようです。
6月8日

「持ち込まれても、水を消毒してれば大丈夫なんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、もう一つ厄介なポイントがあって、それが「バイオフィルム形成」。一時期、公衆入浴施設や24時間風呂でのレジオネラ感染が問題になったことがありますが、あれと同根の問題を抱えてるわけです。
6月8日

混入した食中毒菌の中には、粘質物を分泌する性質のものがいて、この粘質物で自分の周りを取り囲み、さらに他の物質表面に強く付着するものがあります。これが物質表面フィルム状にこびりついたものが「バイオフィルム」。「お風呂のヌルヌル」をイメージしてもらえばOKです。
6月8日

例えば、水槽の水をポンプで循環させて、途中でボイラーなどに通して加熱殺菌しようとしても、ヌルヌルは表面にこびりついたままなので、ポンプに流れていかない。またヌルヌルの内部には消毒薬もしみ込みにくく、かなり強力に処理しないと中の菌は殺せません。
6月8日

(承前)水耕栽培したスプラウトの根っこなどで、このようなバイオフィルムを作られると非常に厄介。また水槽の衛生管理にも十分気を使わないと、水槽の表面にこういう感染巣ができる危険性が出てくる。
6月8日

実際、堺市のO157食中毒事件のときに分離されたO157:H7 sakai株などには、バイオフィルム形成能があることが判っています。
6月8日

水槽そのものが汚染されたような(重篤な)ケースだったら、多分、栽培場を検査すれば問題の菌が検出される可能性は高いと思われます…が、種子由来の汚染などで、問題の菌が特定のスプラウトの根っこの周りだけにいる場合など、「その一本のスプラウト」が元凶になってしまうわけです。
6月8日

…つーわけで、スプラウトが疑われるならば、次に調べるべきなのは、その「種子の特定」かな、と。スプラウトそのものは消費されてる可能性が多く、同じときに生産されたスプラウトの中にも菌がいるもの/いないものがある可能性は高いから。蒔かれたのと同じロットの種子を集めて、菌が検出されるか。
6月8日

…また、栽培前に種子を消毒していたのであれば、その消毒方法や手順に問題はなかったのか、など。
6月8日



スポンサーサイト

テーマ:宇宙・科学・技術 - ジャンル:学問・文化・芸術

大腸菌 | 02:20:11 | トラックバック(0) | コメント(0)
アウトブレイク関連の英語など
さて、あとは同じ農場の残り半分のスプラウトについての検査結果を待つばかりなのですが、ここでちょっと今回の大腸菌アウトブレイク関連の英単語や表現なんかを見ておこうかなあと思います。

E. coliいーこーらぃ】 大腸菌。
   ほんとうはEscherichia coli(えしぇりきあ・こーらぃ)というのですが、
   普通の人はだれも正式名称では言いません。Escherichiaはドイツ人医師の
   苗字からきています。
   coliというのが腸をさすギリシャ語です。
   英語のふつうの「腸」はgutとかintestineですから、わざわざcoliなんて
   ギリシャ由来の言葉もおぼえなきゃならないのは大変ですなあ>英語圏の皆様
   日本語だと大腸菌、大きな腸にいる菌か、とすぐわかるのですが。

bacteria 【ばくりあ】、germ 【じゃーむ】 菌。
   どちらも「菌」をあらわす言葉です。germは口語的です。bug(ばぐ)という表現も
   みかけましたが、これはもともと「虫」という意味で、子供にも分かるくらいの
   すごく易しい口語表現。

strain 【すとれいん】 株、菌株。
   同じ大腸菌とひとくくりに言ってもいろんな種類のものがいます。
   O157:H7と名付けられたものはひとつの菌株。O104:H4もまた別の菌株。
   同じ乳酸菌のなかでも、ヤクルトに使われる菌株は
   ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株、って書いてありますね(笑)。

foodborne illnessふーどぼーん・るねす】 食品媒介性疾患。
   日本語ではあまり食品媒介性の疾患という言い方はせずに、食中毒という
   言い方をすると思いますが、英文記事ではとくによく使う言い方です。food
   poisoning(ふーど・ぽいずにんぐ)=食中毒というのは口語的表現です。
   ~borne illnessという言い方は便利で、airborne illnessは空気感染する
   病気、waterborne diseasesだと水を介してうつる病気のこと。

contaminate 【こんみねぃと】 汚染する、混入する。
   contaminated foodで、汚染された食品という意味になります。
   contaminationだと、「汚染」ですね。

source of outbreakそーす・おぶ・あうとぶれいく】 アウトブレイクの原因、感染源。

life-threateningらいふ・すとにんぐ】 生命を脅かす、致死性の。

complication 【こんぷりけいしょん】 合併症。
   complicate(難しくする、悪化させる)という動詞からきています。
   HUS is a life-threatening complication.といえば、HUSは生命を脅かす
   合併症だ、という意味になります。

HUS =Hemolytic Uremic Syndrome 【へもらいてぃっく・
ゆーみっく・しんどろーむ】 溶血性尿毒症性症候群。
   日本語だと漢字の意味からなんとなくおわかりだと思います。赤血球が
   破壊されて(溶血性)、腎機能をやられて尿毒症になる症候群、ということで
   血液と腎臓をやられるのだなと想像がつくかもしれませんが、英語は大変。
   Hemo=血液、-lytic=溶ける、uremia=尿毒症、という意味を知らないと
   まったく見当がつきません。ほんと漢字ってスゴイ♪

epidemiology 【えぴでみろじぃ】 疫学(えきがく)。
   疫学というのは、簡単にいえば「病気や健康に関する統計学」です。
   特に感染症アウトブレイクの場合、どんな年齢の人がどの割合で病気に
   なったかなど、epidemiologist(えぴでみろじすと)疫学者の
   出番は多いです。

avoid 【あう゛ぉいど】 避ける、食べない。
   Avoid eating raw tomatoes.といえば、生のトマトを食べないで。
   今の段階でいえば、Avoid any types of sprouts until further
   notice. あらたに通知が出るまで、どんな種類のスプラウトも
   食べないで、ですね。

テーマ:ドイツ - ジャンル:海外情報

大腸菌 | 23:38:18 | トラックバック(0) | コメント(0)
大腸菌Q&A
大腸菌について、イギリスBBCも簡単なQ&Aを載せています。


大腸菌アウトブレイクについてのQ&A (6/3付)
http://www.bbc.co.uk/news/health-13600144

サラダ野菜が関係していると思われる大腸菌アウトブレイクは、ドイツ、スウェーデンなどで少なくとも死者18人、感染者数百人を出しています。


大腸菌ってなに?

大腸菌、英語でE.coli(いー、こーらい)はEscherichia coliの略です。ヒトやその他の動物の腸に住んでいる菌のひとつです。

ほとんどの菌株は無害ですが、中にはヒトに症状をおこすような毒素を出すものがあります。

ヒトの症状の重さはさまざまですが、大腸菌の中には激しい腹痛と下痢を起こすタイプのものがあります。

これまでのアウトブレイクはO-157という菌株が原因でしたが、今回のアウトブレイクは違うもののようです。


この菌株についてわかっていることは?

初期の検査では、菌の表面にある「マーカー」を探していて、それがO-104株であることが判明しました。WHOによるとO-104はまれな菌で、ヒトで観察された例はありますがアウトブレイクにはなっていませんでした。

研究者らが菌の遺伝子をすべて調べたところ、実はこれがO-104の新しい菌株であることがわかりました。

菌は、異なる菌株や異なる菌とのあいだで遺伝子を交換できることが知られています。

専門家らは、この変異株は腎臓に障害を与える毒素産生の能力と、腸内部に非常によくくっつく能力という、恐ろしい組み合わせを獲得し、結果的に多くの菌が増えさらに多くの毒素を出すことになったと考えています。


どんな症状がでますか?

血の混じった下痢や激しい腹痛、発熱などの症状があらわれるまで、8日ほどかかります。

先週ドイツで健康上のアドバイスが出されたので、患者数も減少していくと思われていました。

しかしこのアウトブレイクは多くの人に重篤な感染をもたらし、血液と腎臓にダメージを与えています。

HUS(溶血性尿毒症性症候群)、これはある種の大腸菌感染とその他の感染症の場合におこるまれな合併症ですが、これが今回のアウトブレイクでは数百人の人に起こっています。

症状が軽い場合もありますが、いくつかのケースではてんかん発作、慢性腎不全、さらには死に至ることもあります。

16歳から60歳までの多くの人がHUS(溶血性尿毒症性症候群)を発症しました。

「この年齢層の人がHUSを発症するのは非常にまれなことなのです」と英国健康保護局はいいます。


健康上のアドバイスは?

いまのところ、正確な感染源はわかっていません。

感染源が判明し、あらたに通知が出るまで、ドイツ当局は特にドイツ北部においてトマト、きゅうり、レタスなどサラダ用の葉もの野菜を生で食べないようにとアドバイスしています。

英国健康保護局も、旅行者はこのアドバイスに従うよう勧告しています。

同局はさらに、ドイツから英国に帰国した人で血性下痢などの症状のある人はすぐ医師に診てもらい、ドイツへの渡航歴についても話すようにとアドバイスしています。

治療は、おそらく水分補給と痛み止めになります。いくつかの抗生物質は効かないというエビデンスもあり、また専門家によっては抗生物質により病状が悪化する可能性があると考える人もいます。HUSを合併した患者に対しては、腎臓機能をサポートするための人工透析が必要になります。

英国食品安全管理局は一般的アドバイスとして、果物や野菜をよく洗う必要性を挙げています。

同局のアドバイスは以下の通りです。「果物や野菜は、食べる前によく洗ってきれいな状態にし、表面の菌を流すようにするのがよいでしょう」

「果物や野菜の皮をむいたり加熱したりするのも、表面についた菌を取り除くことができます」

しかしスコットランドの専門家は、菌が食品の中にいることもあるため、洗うだけでは不十分だと話します。

スコットランド、James Hutton研究所のNicola Holden博士はこう述べています。「菌が動物から出た後、農産物に付くルートはいくつか考えられます。もっとも考えられるのは水やスラリー(訳注:家畜の糞と水を混ぜて肥料用にしたもの)の散布で、また時には加工時や包装時に汚染されることもあります」

同博士は、菌は植物の根にコロニーを作り、可食部である葉っぱや実にまで移動することもあるといいます。

「健康被害がおこるのは、これらの菌が単に植物の表面に付着しているわけではなく、収穫後に取り除くのは非常に困難だからです」と同博士は付け加えています。


他の専門家の意見は?

ロンドン大学衛生・熱帯病研究所のBrendan Wren教授は、大腸菌はレタスの葉、ほうれん草の葉、きゅうりなど生鮮野菜の表面に付着するといいます。

「これらのタイプの大腸菌はふつうの大腸菌よりも過酷な環境で生き延びることができ、ヒトにとって害のある毒素をつくります」

「これらの菌は土壌中でも生きることができます。きゅうりなど生鮮野菜に関連したアウトブレイクの感染源のひとつは肥料かもしれません」

Bradford大学の微生物学上級講師Jonathan Fletcher博士は、毒素を出すタイプの大腸菌はヒト、特に高齢者と幼児に重篤な症状をおこすといいます。

ウシは腸内にこれらの毒素をもっていると思われますが、症状は出ず、それが糞便中に排出されるといわれます。

「もしウシの糞が肥料として使われているならば、きゅうりなどの野菜が大腸菌に汚染されている可能性はじゅうぶんあり、適切に洗浄しないと感染をおこすのに十分な数の菌が残ってしまいます」


感染源は何でしょうか?

このアウトブレイクの感染源は、汚染されたサラダ野菜だと考えられています。

きゅうりが感染源であったとする初期の報道は確認がされておらず、その他の食品のサンプリングも行われています。

大腸菌感染は火の通りきらない肉や卵からおこることが多いですが、近年、生の果物や野菜が原因となるケースが増えてきています。

それらのケースには、生で食べたりほんの少しの加熱しか行われない、サラダや生の果物やスプラウト類などが含まれます。

過去の大腸菌アウトブレイクの原因となった食品はたくさんあるのです。

過去の大腸菌アウトブレイクの原因

加工肉: ハンバーガー、ケバブ、サラミ
チーズ、牛乳、バター、ヨーグルト、アイスクリーム、その他乳製品
サラダ野菜(コールスロー、レタス、ほうれん草、ラディッシュ、アルファルファ等)
果物(メロン類、ぶどう、リンゴジュース)
水を媒介としたアウトブレイク(湖、池、カヌーやボートなどのパドリング、水泳プール)



イギリスではどうですか?

イギリスにおける患者数は11人です。

3人が、致死性の合併症であるHUS(溶血性尿毒症性症候群)を発症しています。

全員がドイツで感染してきたようです。英国健康保護局は、英国内ではヒト-ヒト感染が起こった証拠はなかったと述べています。
-------------------------

テーマ:ドイツ - ジャンル:海外情報

大腸菌 | 21:13:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
抗生物質に耐性をもつ大腸菌
抗生物質8種類に対して耐性を持つ大腸菌のようであると、北京ゲノム研究所が発表しています。

●改良ゲノムアセンブリの分析によるとアウトブレイクの大腸菌は複雑な遺伝的特徴をもち、少なくとも8種類の抗生物質に耐性がある
http://www.genomics.cn/en/news_show.php?type=show&id=647
2011-06-04 05:34:45


●Twitter、山本敏晴dr.(@yamamoto1208)のツイートより
ドイツの大腸菌О104:H4について米疾病対策センター(CDC)Robert Tauxe博士は、「この菌は、これまでに発見された病原性大腸菌の中で最も致死性が高い。また多くの抗生物質に耐性。どのようにして強い耐性を持ち得たのかはまだ分かっていない。抗生物質が効くという証拠はない」

大腸菌 | 07:38:00 | トラックバック(0) | コメント(0)
新型株の可能性
さて今回の大腸菌に関して少しずつ情報が出てきています。

(あ、このブログの翻訳はスピードを第一にしていますので、訳抜けとか誤訳があったらすみません。コメント欄にてぜひご指摘くださいませ)


今日もFood Safety Newから。

●大腸菌アウトブレイク、致死性の新型株の可能性
http://www.foodsafetynews.com/2011/06/e-coli-outbreak-may-be-from-toxic-new-strain/
by Ross Anderson | Jun 03, 2011

「新型の強毒性株」――こう大見出しに掲げたのはイギリスのSky News紙だ。「ドイツ、致死性大腸菌とたたかう」――こちらはLos Angels Times紙。「アメリカ人への警告」――Fox Newsはこう告げる。

ドイツで大腸菌アウトブレイクが始まって早2週間近く経ち、世界のメディアが注目し始めた。米国のPublic Broadcastingやニューヨークタイムズ紙から、ブルームバーグやCBSニュースなどの編集者はレポーターをドイツに送り、O-104:H4の謎解きを試みている。

ウォールストリートジャーナルさえもがこれに加わった。このアウトブレイクによって「経済・外交の混乱」がみられるためだという。

食品媒介性疾患に詳しい保健当局にとって、この新たな発見はよいニュースでもあり悪いニュースでもある。メディアの注目が集まることにより、このアウトブレイクに関してまだわかっていないことの答えがどこからか提供されるかもしれないと期待できることが、よいニュース。

しかし彼ら曰く、悪いニュースは、報道の過熱によりこのヨーロッパの流行が出来の悪い1950年代のSF映画みたいに、あたかも暗い沼からミュータントの怪物が出てくるように恐ろしいものに見えてしまうことだ。

大腸菌O-104:H4という今回の病原体とされる毒性のある菌は、WHOによると大腸菌の新型株らしいという。しかしこれらの菌を日々扱っている疫学者らは、これを怪物と決めつける前にもっと多くを解明しなければならないと警告する。

顕微鏡で見た大腸菌O-104:H4は、特に目立った特徴はない。牙やかぎ爪があるわけでもないし、うなり声を上げているわけでもない。ヒトやその他の温血動物の腸に住む、ほぼ無害なその他大勢の大腸菌各種と見分けはつかない。大腸菌は桿菌と呼ばれる棒の形をした菌の一種で、顕微鏡下でも見えるか見えないかといったむちのような形の鞭毛をプロペラのように使って移動する。同じ桿菌という大きなくくりの中には、サルモネラ菌や、ペストを起こすエルシニア菌など多くの菌が含まれる。

O-104:H4という番号に意味はない。新しい株が発見されたときに科学者が割り振っただけのことである。大腸菌にはこのように番号がつくが、サルモネラ菌の株にはそれぞれ名前がつく。サルモネラ・セントポールだとかサルモネラ・ハイデルベルクなど、科学者によってはこちらのほうが覚えやすいという人もいる。

しかし、平凡な見た目にもかかわらず大腸菌は驚くほど複雑な微生物で、200年近くの間科学者たちの興味を引いてきた。200年というのは、顕微鏡が発明されて微生物の観察ができるようになって以来ということだ。小さな大腸菌はそれぞれ520万組の遺伝子からなるゲノムを持つ。これらの遺伝子が、いい方に転ぶか悪い方にころぶかわからないが菌の特徴のひとつひとつを決定している。およそ15年前に大腸菌のゲノム配列がすべて解読されたのが、科学のマイルストーンであった。

大腸菌の遺伝子コードがなんであれ、彼らはあたたかいヒトの腸内で生きている。そこで消化を助けるなどのいろいろなサービスをしているのである。彼らは20分に1度という驚くべき速度で増殖もしている。生物がそのように速いスピードで増殖する場合、さらにスピードアップした進化が可能になる。つまり突然変異したものが、何年とか何億年とかのレベルでなく、数週間・数ヶ月で自分の居場所を獲得してしまう。

30年ほど前、保健当局は食品媒介性疾患のアウトブレイクを調査して、原因が大腸菌O-157:H7であることを突き止めた。これはウシの腸に住み、志賀毒素という毒性の高い毒素を出す菌株である。これらの菌はウシの糞の中に排泄され、それが牛乳や、挽肉や、近くで栽培される野菜を汚染する。O-157:H7はヒトの体内に入ると激しい下痢を起こし、患者の5~10%にHUS(溶血性尿毒症性症候群)とよばれる致死性の腎臓疾患を起こす。

これまで、このO-157:H7が最も深刻な大腸菌のアウトブレイクであった。1993年米国のJack in the Boxハンバーガーチェーンの事件から、最近のほうれん草やクッキー生地のアウトブレイクまで。

科学者らは何年も、この大腸菌O-157:H7は新しく進化した株なのか、それとも数世紀にわたって人々を苦しめてきたが科学がつきとめられなかっただけなのかを討論してきた。これはいまだにわからない。

そして今、同じような論議が、O-104:H4についても行われようとしている。

ドイツの大腸菌が新しいものであるという考えを支持する証拠はたくさんある。科学的文献で過去にこれに言及しているのは1つだけ、90年代半ばの韓国での小さなアウトブレイクである。(1990年半ばのモンタナにおけるO-104:H121のアウトブレイクは、コードは似ているが関係はない。) 中国とドイツの2つの研究所が迅速に今回の大腸菌株のゲノム配列を解読したところ、両研究所ともこれが新しいものであるとの結論を出した。

いくつかの保健当局はこの菌が新型で危険性が高い株であることの証左として、今回の感染者数の多さを挙げる。ドイツのアウトブレイクではすでに患者数1600人以上、そのうち500人が生命の危険のあるHUSを発症し、18人が死亡した。これはすでに近代史上最悪のアウトブレイクのひとつである。さらに、この感染症は主に成人女性をターゲットにしている。大腸菌のアウトブレイクとしては異例だ。

これらの統計上の数字はドイツ政府が感染源をつきとめるのに役立つかもしれない(木曜日現在、感染源は不明のまま)と説明するのは、オレゴン保健所の食品媒介性疾患専門家、Bill Keene博士である。彼は付け加えて、数字だけでは菌そのものの性質やそれが新型株なのかどうかはほぼわからないだろうと言う。「それは生物学的には重要ではありませんから」

致死性の合併症HUSの患者数が通常の3倍から4倍だと言われているが、それも全体の患者数を正確にカウントしているかどうかによる、とKeene博士は語る。ドイツで感染している人ははるかに多いが一部しか保健当局に報告していないという可能性も十分考えられる。

いずれにしろ、Keene博士を含めアメリカや全世界の保健関係者がドイツでのなりゆきを注意深く見守っている。彼らもさらに別の小さなモンスターをいずれ相手にするようになるのかと危惧しつつ。
-----------------------------------

大腸菌 | 03:01:58 | トラックバック(0) | コメント(0)
次のページ

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。